BLUE GIANT が映画化されました。
仙台・東京編で一区切り、ヨーロッパ編で一区切り、で今アメリカ編を連載しています。連載中はコミックを買わずに完結したら一気に購入したり、こつこつ新刊が出たら買って積み上げておく人です。
ヨーロッパ編までは話が終わっているので、そこまでは内容を知っていました。
今回映画化されたのは、仙台・東京編の中の主に東京で駆け上がるのをメインにしています。仙台編も、主人公がなぜサックスを吹こうと思ったかや、東京編で出てくるドラム玉田君との繋がり、お前は青い(ダブルミーニングかあります)と言う師匠との出会いなどがあり、また主人公 宮本大君の家族の背景などが、4巻の中ほどまであります。映画では必要な描写として仙台の話がカットインしてきます。
受験をして大学生になっていく同級生を横目にサックスの腕を上げるために東京にやってきた4巻中頃〜区切りが付く10巻まで 約50話が2時間に詰め込まれています。
もともと漫画なので、紙からは音がでません(自分は電子書籍ですが)。しかしながら不思議と音が聞こえると評判で、私も音が出ているような錯覚に陥るほど音楽描写が良いです。
自分とジャズというと、キースジャレットは好きでアルバムを大学の時から購入していました。しかし彼はピアノて、基本好きなのは彼のピアノソロで、トリオやカルテットはあまり好みでなかったので、ほとんどジャズの知識はなかったです。
主人公の宮本大君はテナーサックスなのですが、そこに昔からの友人であるど素人のドラムが加わりテンポを刻み、東京で出会い切磋琢磨する天才肌の沢辺「さん」(みんな同じ歳なのですが、沢辺だけは君じゃなく さん と呼びたい派)がメロディを乗せます。
映画は漫画を観ていない人でも分かるようにうまくエピソードを繋げています。自分は漫画を読んでいて、結末や背景なども知っていましたが、原作を読んでいない相方は、映画を観て置いてけぼりにならず楽しめて、私同様とても良かったと評価してくれました。
映画では 3D モデルが使われて手描きのセル画でない所は、う・・・残念な仕上がりで、テクスチャーの具合やモデリングの甘さ、キャプチャーされた動作の不自然さがあります。しかしながらそれを置いておいても、何より本物の音が付いている事とアニーメーションすることによる音をさらに視覚的に盛り上げる具合が素晴らしいです。
興行的にももうすぐ10億いくので、確かに最近の化け物アニメと比べると低いですが、ジャズの映画で 10億はすごいです。その裏付けとして評価が高いです。
友人のライターさんがベタ褒めしていたので、最初は観に行くのを迷っていたのですが、観にいき、うぉぉ良い良い良い(もうこの小並感な感想)となりました。
映画のレビューはネタバレもあるので難しいですね。
googleで「ブルージャイアント」と入力すると 最近は「映画」が1番のレコメンドにされますが映画化の前は「ひどい」がレコメンドされます。
その先を調べて見ない方が良いです。ぜひ 映画を事前知識なく観てほしいです。
あと映画として完結させるため、原作を知る私も途中でアレ?と思っていたら映画オリジナルの伏線が回収されます。映画のオリジナル要素があり、原作者公認の改変です。
音楽のバックボーンは上原ひろみさんが監修しているのと、ピアノは上原さんが、他のテナーサックスやドラムも、オーディションで選ばれた熟練者達の演奏なので、良いです。
apple music の空間オーディオ対応の国内ジャズアルバムの再生記録を更新しました。サントラ良いです!
もともと彼らトリオは、演奏を続ける間に、沢辺さんが作曲した曲を奏でます。
原作で複数の曲がオリジナル曲として書き上げられますが、上原さんがその作曲部分を担当しています。良いです。(上原さんは原作連載時からこの作品に注目していて、漫画で後半描かれてたまに画角的に映るシーンがあるのですが、その譜面の提供もしていたようです。10巻の巻末かな 上原さんと作者の交流話も載っていたはず)
宮本大君は、沢辺にお前は優しすぎると評されるのですか、読者はみんな 大ほど優しくないよ ってつっこみを入れます。大は本当にまっすぐで、原作では 大が世界一のジャズプレーヤーになる世界線は最初からあり、コミックの巻末に 関わった人の世界一になった大に対する最初の印象や今(つまり未来)の印象などを語ります。映画でもそのテクニックが使われています。
ほとんどが大に対するコメントなのですが、(最終的に大のことを述べては終わるものの)沢辺さんが対象になるものもあり、この東京編の影の主人公は彼です。
原作ではよりそれが丁寧に描かれ、映画でも必須なエピソードは限界までスリム化していますが、彼の才能、彼の美学、彼の蘊蓄、彼の葛藤、彼の挫折、彼の・・・と自分は涙しました。家に帰って原作読み直して 追い涙です。
もうひとりの玉田君もちゃんと削ぎ落としはされているものの、スポットをちゃんと当てて描いています。玉田君に感情移入するのもありです。
大君の沢辺さんへの態度と玉田君への態度(大は意図していない)の違いで、玉田君が憤慨する秒エピソードはぐっときます。
3Dモデルは酷いですが、セル画でアニメーションする所は感激ものです。
ヒットしないかもしれない現場のコストの掛け方のバランスが良いとも言えます。
ちゃんと感動すべきところはしっかりと手描きされています。
あと1ヶ月くらいで終わるかもしれないので、ぜひこの熱い ジャズってるべゃあ(大の仙台弁を借りる)映画を観るべし観るべし。
以上
PS.仙台も住んでいたことがあるので、原作および映画の仙台シーンは感慨だし、東京も住んでいた所の描写もあり楽しめました。